サイズ:B1(728 x 1,030 mm)
価格:1,000円(税別)
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タイトル:「記憶」
デザイン:井上嗣也
数十年前、『廣島』と題名された原爆被害の写真集を見た。そこにある笑顔の子供たちの写真に付けられた説明文「これからは小鳥のように楽しく生きたいと、原爆の子たちはいっている。しかしその小鳥はとても自分のピカドン傷を気にしている。」という言葉が、強い印象で残っている。
戦後に生まれた私たちは、その悲惨な出来事の断片化した知識を、時間と共に遠ざかる記憶として持っている。しかし記録された写真や映像や活字などで被爆の事実を知るほどに、一瞬にして生活と命を奪った行為に対して悲しみ、改めて核への恐怖を覚える。忘れることで今を享受することが出来るかも知れないが、忘れることの危うさもある。1945年の出来事を忘れないで、長く困難な道かも知れないが、「核の傘」という抑止力に頼らない社会の実現を望むばかりだ。
デザイン作業中は、人工の破壊力によって命を奪われた人々の思いと、「生命は生存したいと願う」という自身の気持を確認しながら臨んだ。画面の生物は、晴天のもと新良太氏に撮影していただいた太陽の光と影の写真によって、時間と記憶を意図して定着に向った。
この親子二世代の生物は、風化される記憶の忘却を憂い、反核の強い決意で、忘れてはならない「1945年の記憶」を次の世代に伝えていって欲しいと願っている。
公益社団法人日本グラフィクデザイナー協会(JAGDA)と財団法人広島国際文化財団が1983年、言葉を超えて「ヒロシマの心」を訴えるポスターを共同制作、内外に平和を呼びかけるキャンペーンの構想を発表。同年に第1回作品として、当時JAGDA会長だった故亀倉雄策氏の「燃え落ちる蝶」が発表され、その後8年間、毎年1点ずつ新しいポスターが制作されました。
ポスターは一般販売されたほか、「平和ポスター展」として全国各地で巡回展示されました。平和市長会議の参加都市に贈られ、85年にスイス・ジュネーブでの米ソ首脳会談前に開かれた原爆資料展、97年の欧州ヒロシマ展で紹介されるなど、海外でも反響を呼びました。
戦後60周年を迎えた2005年を機に制作を再開しています。
1983 亀倉雄策/1984 粟津 潔/1985 福田繁雄/1986 早川良雄/1987 永井一正/1988 田中一光/1989 勝井三雄/2005 仲條正義/2006 佐藤晃一/2007 松永 真/2008 青葉益輝/2009 浅葉克己/2010 長友啓典/2011 遠藤 享/2012 奥村靫正/2013 葛西 薫/2014 井上嗣也/2015 佐藤 卓/2016 上條喬久/2017 原 研哉/2018 服部一成/2019 澁谷克彦