21世紀に入って、社会の様相は大きな変化を遂げました。きのうの常識が通用せず、あしたの予測も難しい時代、あらゆる分野で物事が壁にぶつかり、出口を模索しているかのようです。このような状況にあって、グラフィックデザイナーに求められる役割は大きく変わってきました。問題解決の手段として、人々がヴィジュアル・コミュニケーションに期待を寄せ始めたからです。
グラフィックデザイナーには、時代を読む能力があります。社会のニーズを探り、必要なものを形にする力があります。この職能がいま、印刷というメディアを超え、幅広く社会で活躍する場を創出しているのです。 全国の町づくりや地域の活性化にグラフィックデザイナーが参加することは、もはや珍しいことではありません。工業デザインや建築の分野にも、グラフィックの感性は活かされています。また、ヴィジュアルという共通言語を通し、国境を超え、日本のグラフィックデザインは世界にも進出しています。
JAGDA(公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会)は、1978年、戦後日本のグラフィックデザインの礎を築き、東京オリンピックポスターをはじめ数々の名作を残した故・亀倉雄策らを中心に設立されました。現在、約3,000名の会員を擁する日本で唯一のグラフィックデザイナーの全国組織です。その活動は、年鑑の発行、展覧会やシンポジウムの開催、デザイン教育、公共デザインや地域振興への取り組み、国際交流など、多岐にわたります。これらの活動を通して、JAGDAは日本のグラフィックデザインの発展と、コミュニケーション環境の質的向上に大きく寄与してきました。これからはさらに幅広い視野をもって、領域も国境も超えたダイナミックなデザイナーの活躍を支援していきたいと考えます。時代は、いま、デザインの力を必要としているのです。