2010.12.13
社団法人日本グラフィックデザイナー協会は、12月2~4日の3日間、香港で開催されたBusiness Of Design Week(以下BODW)に会員85名によるモーショングラフィックス展「Romance」を展示いたしました。
展示会「IDTExpo」全体の来場者は5万人を超え、「Romance」展にも現地デザイナーや学生を中心に多くの方々が訪れ、モニターの前で一つ一つの作品を熱心に見つめる姿が見受けられました。
なお「BODW Forum」では、同展の企画を担当した廣村正彰氏、原研哉氏が「Romance: an insight into communication design in Japan」と題した講演を実施。「Romance(恋愛)」をテーマに同展を編成した背景や、世代ごとに参加者数名にフォーカスを当て、通常の仕事と今回の出品映像を併せて紹介することにより、同展に対するオーディエンスの理解を深めました。
本展はBODW終了後、香港市内の別会場に巡回しており、また、2月には東京展も予定しています。ぜひ、引き続きご注目ください。
■企画趣旨/参加者リストなど
11/26付「JAGDA Topics」をご参照ください。
■巡回情報
・InnoCentre展
展覧会名:Design Extravaganza Japan 2010
会期:2010年12月7日(火)~29日(水)
会場:InnoCentre(BODWを主催する「香港デザインセンター」が入居するデザイン振興施設)
内容:日本産業デザイン振興会(JIDPO)「JAPAN DESIGN 2010」
日本インダストリアルデザイン協会(JIDA)「成長するインダストリアルデザイン」
日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)「The JAGDA Exhibition 2010: Romance」
詳細:香港デザインセンター Webサイト
・東京展
展覧会名:東京ミッドタウン・デザインハブ第26回企画展「Romance」
会期:2011年2月4日(金)~3月6日(日)
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
■関連記事
ウェブサイト
・香港貿易発展局/HKTDC(12/1)
展示会「IDTExpo」主催者。イベント全体概要、各国スピーカーからの期待など。
・香港デザインセンター/HKDC日本窓口(12/6)
フォーラム「BODW」主催者(日本窓口)。イベントの終了報告。
・Japan Design Net(11/29、1/13、1/19、2/2)
・デザインの現場オフィシャル・ブログ「これ、誰がデザインしたの?」(12/4)
・AXIS JIKU(12/2、12/9)
「Romance展」会場の様子を動画でご紹介くださっています。
・exite. ism(12/22、2011/2/11)
雑誌
・「AXIS」 Vol. 148(12/1)p. 76
・「NIKKEI DESIGN」 1月号(12/24)p. 14
・「Signs & Displays」 No. 613(2011/1/30)p. 47
・「デザインノート」 No. 35(2011/2/1)p. 26
・Casa BRUTUS 3月号(2011/2/10)p. 123
■本展の企画について(BODW部会より)
始まりは香港のBusiness Of Design Week(以下BODW)という国際的なデザインイベントの協同開催国として日本が指名されたことです。これを受けて経済産業省およびJETRO、日本産業デザイン振興会、JIDA、そしてJAGDA等のデザイン団体がこれに参加することになりました。
BODWは02年に始まったアジア最大のデザインイベントです。様々な展示や、世界から招かれたスピーカーが経験やヴィジョンを披露する講演形式の企画で構成されています。ここ数年、広く世界にデザイン情報を流通させていくプラットフォームとして認知されはじめています。
JAGDA(日本グラフィックデザイナー協会)もこの機会を前向きにとらえて、国際的な文脈でJAGDAの存在感を高めていきたいという趣旨で、運営委員会で協議の上参加することになりました。
その段階でJAGDAより当時国際部会の委員をしていた原研哉と、デザインハブの展示委員を担当していた廣村正彰、松下計に展覧会制作の依頼がありました。これを私たちが了承し、合議の末、展覧会企画を立案しています。この企画が再度運営委員会で承認され、進行しています。
展覧会の内容は「ロマンス」というテーマで、30秒の共通の音源(作曲:ヤマダタツヤ、作詞:小暮めいりん)を制作し、参加者はこれをベースに30秒の映像を制作し、50台のモニターから同期させた映像を流すという趣向です。一つの楽曲/85名の参加者/50のモニターから整然と流れる映像が見所です。
80歳代から20歳代まで45歳を中心にほぼ正規分布を見せているJAGDAの世代の広がりと、それに応じてバラエティに富んだ作品の諸相を見せていくことも、もうひとつの主眼です。100人を超える方々にお声がけし、結果として85名に参加いただいています。
音楽はたいへん若々しい楽曲で、この「お題」にあえて挑戦してもらい、デザイナーごとに「お題への回答」を鑑賞するのがひとつのポイントになっています。
工業デザインの堅い展示が多い中で、JAGDAとして表現したいと考えたのは、柔らかい日本のコミュニケーションの土壌のようなものです。団体での表現ですから約束事はありますが、協力して展覧会を生み出せるのも、JAGDAの一面であると考えています。
参加者の選定にあたっては、今回は会員の中から歴代新人賞、亀倉賞受賞者およびその候補者、そしてJAGDA運営委員・部会長から参加者を募りました。JAGDAという組織の特色と、運営委員・部会長の責任を考慮してのことです。
企画チームの3名はスピーカーとして招聘され、スケジュールの都合のつかなかった松下計を除いて、廣村正彰と原研哉が、JAGDAを代表して、展覧会の趣旨と内容、そしてJAGADAの紹介に関するスピーチをしてきました。
展覧会は大変好評で、当初の意図をほぼ実現できたと考えています。香港のBODWという特殊な文脈での展覧会のリアリティはなかなか再現できるものではありませんが、日本への巡回も予定されていますので、その折に、ご報告とその片鱗をみなさんにご覧いただけると考えています。
2010年12月6日
日本グラフィックデザイナー協会 BODW部会
廣村正彰 原 研哉 松下 計
HKCEC展の様子
InnoCentre展の様子
BODW Forumの様子