2017.07.24
JAGDAは、広島国際文化財団およびヒロシマ平和創造基金との共催により、言葉を超えて「ヒロシマの心」を訴えるポスターキャンペーン「ヒロシマ・アピールズ」を実施しています。
毎年JAGDA会員1名がポスターを制作し、広島市長に贈呈するとともに、国内外に広く頒布することで平和を希求する活動です。
この度、原 研哉氏(東京)による2017年版のポスター(シリーズ20作目)が完成いたしました。
タイトル:「HIROSHIMA APPEALS 2017 キノコ図」
デザイン:原 研哉
主催:公益財団法人ヒロシマ平和創造基金
一般財団法人広島国際文化財団、
公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)広島地区
協力:凸版印刷株式会社、株式会社竹尾
詳細:JAGDA広島地区
制作コメント
キノコ雲を下から見上げる図である。日本の、広島の人々の、まさに頭上で、人類史上最悪の奸智の結晶が炸裂した。その瞬間に眼を凝らそうと思った。ポスターには移ろう現実や心情を永遠に静止させる力がある。ポスター表現としての「HIROSHIMA APPEALS」は、静止画であるところに意義がある。まさに祈りを制作しているのだ。原爆で亡くなった方々のことを考えると、あらゆる表現は無力だが、頭上で核兵器が炸裂した街があるという事実に、意識の照準を合わせてみることが、祈りに通じるのではないかと思った。
「抑止力」と称されつつ、地球を幾重にも破壊できる量の核兵器が準備されている現実を考えると、絶望的な気持ちになる。人類は自分たちが考えているほどには賢くはない。「わたし」や「国」や「信条」といったものを優先するために、自分たちが生きる母胎すらも破壊しかねない人類は悲しいほど愚かだ。生の連繋を本能的に尊重しつつ生きているように見える他の生物たちよりも、はるかに先の短い存在なのかもしれない。
リアルなイラストは、30年来の付き合いになる水谷嘉孝との共同制作である。僕が原画を描き、それをそのまま、水谷の技術で精緻に仕上げていく。自分の頭の中にあるイメージを精密に可視化していくためにお願いしているコラボレーションである。原画はキノコの傘を丸ごと描いたが、最後にトリミングをした。もう一歩、爆発の中に踏み込んでみた。
作者略歴
原 研哉(はら けんや)/1958年生まれ。日本デザインセンター代表取締役社長。武蔵野美術大学教授。デザインを社会に蓄えられた普遍的な知恵ととらえ、コミュニケーションを基軸とした多様なデザイン計画の立案と実践を行っている。無印良品アートディレクション、代官山蔦屋書店VI、GINZA SIX VI、展覧会「HOUSE VISION」など活動の領域は多岐。2015年より外務省「JAPAN HOUSE」総合プロデューサー。主著『デザインのデザイン』(岩波書店刊、サントリー学芸賞)『白』(中央公論新社刊)は多言語に翻訳されている。
ポスター販売のご案内
・サイズ:B1
・価格:1枚1,080円(税込)
・取扱店:広島平和記念資料館(原爆資料館)ミュージアムショップ
広島市現代美術館 ミュージアムショップ
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