イベント・展覧会

JAGDA教育委員会セミナー「文字の先と端」

2007年8月—12月 会場:東京ミッドタウン・デザインハブ インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター
主催:社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)

JAGDA教育委員会では、活版からインタラクションデザインまで「文字」文化全体に対しての知識や考えを深めることを目指し、特別セミナー「文字の先(さき)と端(はし)」を開催しました。毎回、学生からプロフェッショナルの方まで幅広い層を集め盛況となったセミナーから、ワークショップを除く4つの講演録を公開いたします。


「文字の先と端」解説
原 研哉 (2006-2007年度JAGDA教育委員長)

グラフィックデザインの基本は文字です。文字という普遍的な記号を目的や用途、メディアの文脈に応じて、自在に文字を差配する技量こそグラフィックデザイナーの真骨頂。紙の上だけではなくメディアの多様化によって文字の生態圏は変化を続けています。画像解像度の飛躍的な向上により、モニター上の文字の精度はむしろ紙の精度をしのぐほどに進化し、ひととき注目を集めた低解像度対応フォントの存在理由も現在では希薄になりました。他方では、モニター上で、無限の可変性や連続性を獲得した文字は、新たなことばのフォーメーションを生み出しはじめています。さらに言えば、そのような文字環境の伸展にもかかわらず、日本のケータイ画面に現れる文字は、まだまだ未整理で、欧州のデザイナーからは「原始時代」と指摘されるありさまです。
このような状況を背景として、2007年の教育委員会は、文字をテーマとして活動してきました。具体的には、デザインハブのリエゾンセンターにおいて「文字の先と端」と題するワークショップとレクチャーを連続的に開催しました。今日再び注目を集めはじめた「活字」から、20世紀後半のタイポグラフィに柔らかい造形性を与えてきた「写植」、そして文字組みの基本を再確認する組版講座、さらには独自のスペシャリティを持つグラフィックデザイナーによる4つのレクチャー……。文字の生態の広がりに果てはなく、先と端といっても、そのいくつかを取り上げたにすぎませんが、いずれのレクチャーも、より多くの方々にご覧いただきたい内容であると判断し、再現のかなわないワークショップ以外のレクチャーを、ネット上で再現することになりました。
レイアウトに骨をおってくださったのは、教育委員として活躍してくれた福岡南央子さんです。福岡さんお疲れさまでした。それではみなさん、JAGDAならではの、ディープな文字の世界をご堪能ください。


収録内容


備考:ワークショップ(未収録)

  • 「未来のある活版印刷」2007年8月3日
    スピーカー:高田 唯、梅原 真
    ゲスト:活版技術者 三木弘志(弘陽)
  • 「100%写植」2007年8月4日
    スピーカー:高田 唯、梅原 真
    ゲスト:フォントコーディネーター 伊藤義博(文字道)
  • 「モリサワ文字講座:解る&判る&分かる文字組版」2007年8月5日
    スピーカー:株式会社モリサワ 営業三部カスタマーセンター 村辻博見