- デザイン料金表
- 制作料金算定基準
- 制作料金概念規定
制作料金概念規定
1-- 制作料金の概念
デザイン制作料とは、デザイン制作物の最初の打ち合わせから完成までに制作者が提供した役務(労働)への対価(作業料)と、制作のために実際に支出する経費(支出経費)および、完成した制作物がもたらすだろう付加価値の分け前(付加価値料)の3つを合計したものをいいます。
2-- 制作料金の構成要素
- 1-1 作業料
作業料は「制作者が提供した役務(労働)への対価」です。従って、本来なら時間料金にすべき性質のものですが、制作者の能力、性格などによって、一定の作業に要する時間がバラつく可能性があるため、ここでは標準的能力の制作者が、一定の作業に要する標準的時間を前提として、11に記した時間料金をもとに、作業毎の標準作業料を算出しました。 - 1-2 a作業とb作業
制作作業には、次項で述べる付加価値料につながる作業とその他の作業があるため、前者をa作業、後者をb作業とします。a作業に関しては、標準制作料金表で示した標準作業料に2-4に記した質的指数を乗じたものが、実際のa作業料になります。
b作業はカンプ、フィニッシュなど、付加価値に関係の少ない作業で、従ってb作業は作業毎の定額となります。その定額は、基準料金表で示した標準作業料をもとに、制作者と依頼者が協議して決めます。 - 2 付加価値料
付加価値料は「完成した制作物がもたらすだろう付加価値の分け前」です。大キャンペーンの主役になるような制作物は、クライアントに大きな付加価値をもたらすでしょうし、その反対に、付加価値とほとんど関係のない制作物もあります。また、全く同じ広告でも、100万部の雑誌の広告と、数千部の雑誌の広告では、付加価値に大きな差があります。さらに同じキャンペーンの同じ主役になる制作物が、制作者の知名度等によって付加価値に差がつくこともあるはずです。要約すれば、付加価値料は、制作物の量的要因と質的要因によって左右されると考えられますので、a作業料に2-4に記した質的指数と、2-5の量的指数を乗じた金額が、実際の付加価値料ということになります。 - 3 支出経費
支出経費は「制作のために実際に支出する経費」ですが、一般的な内容としては、次のようなものになります。- 外注費:外注写真料、外注イラスト料、スタジオ料、照明料、モデル料、ヘアメイク料、スタイリスト料、大小道具料、写真借用料、外注原稿料、外注フィニッシュ料、etc。
- 材料費:フィルム費、現像料、印画紙代、その他の材料費、写植料、コンピュータ出力費etc。
- ロケ出張費
- 交通費
- 打ち合わせ等に伴う雑費
- 通信費
- 4 質的指数
制作者の能力度の指数、いわば制作者指数です。2-2で記したように、付加価値を左右する要因を、質的なものと量的なものの2つに分けることができます。質的指数はその前者を指数としたものです。たとえば媒体の差などによる違いなどはすべて量的指数の方に集約し、質的指数は制作者の能力度(知名度等を含めた)に絞ってみると、「制作者指数」といっていいものになったのです。すなわち、標準的能力の制作者の質的指数を1とし、その標準的制作者と比較しながら、たとえば半人前の能力であれば0.5、5倍だと思えば5というような指数を想定することができます。具体的には1をもとに、当事者が協議して決めます。 - 5 量的指数
標準的制作者が制作する同種制作物の、制作料金の高低はすべて、この量的指数が左右する付加価値量の差によります。すなわち、制作物の達成目標、使用媒体、数量など、制作者の知名度、能力以外の付加価値支配要因を集約すべき指数がこの量的指数です。基準料金中の量的指数は、各カテゴリー、アイテム毎に、上記付加価値支配要因の関与度を考えながら、各分野のエキスパートが算出したものですが、具体的にはこれも当事者が協議して決めることになります。
3-- 制作料金の算出式
以上の各項をまとめた制作料金の考え方を計算式として例示すると次の通りになります。
X = aY + b + aYZ + C |
X = 制作料金 |
4-- 基準額と具体的運用
標準制作料金表の金額および質的指数の数値は、現時点で考えうる限りの多様なケースに対応するものとして算出した、いわば公正なモノサシですが、あくまでこれはモノサシであって、その現実への適用は当然ながら、当事者間の責任において行われます。
5-- 付帯作業料
会議打ち合わせ、調査、取材、校正、納品などの付帯作業については原則として支出経費として請求します。その金額は、同作業に要した制作者の時間を、11(時間料金)にもとづいて算出した金額を参考にして決めます。
6-- プレゼンテーション料
プレゼンテーションに要した作業および経費については、依頼されない自主プレゼンなどを除き、それがプレゼンテーション段階で終わってしまった制作物についても請求します。その場合、付加価値は発生せず、従って付加価値料はゼロとなりますが、ただし、プレゼンテーションをすること自体が一種の付加価値をもたらす場合(ex.代理店の開拓用プレゼン)などは、うべかりし付加価値料の10〜30%を請求することができます。また、依頼主側の事情で未完成に終わった制作物の場合も、これに準じて、その作業の進展状況に応じ、10〜50%の付加価値料を請求することができます。
7-- バリエーション料
バリエーションにおける作業料は、原則としてa作業料が80%、b作業料は100%、付加価値料は質的指数を0.5〜0.8にして算出した金額を参考にして決めます。
8-- リ・サイズ料
リ・サイズにおける作業料は、a作業料が70%、b作業料は100%、付加価値料は、質的指数を0.5〜0.8にして算出した金額を参考にして決めます。
9-- リピート料
リピートの場合は付加価値料のみの請求になりますが、具体的には下記のどちらかによることになります。
- 量的指数の前提が変化する場合、新たなる量的指数によって付加価値料を算出し直し、その差額を請求する。
- 量的指数の変化が明確でない場合は、バリエーションの付加価値料と同じく、質的指数を0.5〜0.8にして算出し、請求する。
10-- 特急、特殊の仕事
特急の仕事は、作業料のみ、a・b共20%upすることができます。ただし、付加価値料の算出は、up前の作業料によります。また、特殊の仕事については、ケースバイケースで作業料を10〜50%upすることができます。付加価値料に関しては特急仕事の場合と同様。
11-- 時間料金
時間料金は時間提供者の
平均年収×1/12(月収)×1/165(月当たり標準労働時間数)×2(標準人件費比率50%として)で算出することができます。
各職業毎の標準的制作者時間料金の参考値は、下記の通りになります。
10,000円(年収 1,000万)クリエイティブ・ディレクター/プロデューサー
8,000円(年収 800万)コピーディレクター/アートディレクター/CFディレクター/SPディレクター
5,000円(年収 500万)コピーライター/デザイナー
2,500円(年収 250万)アシスタント
12-- 基準額の調整
経済情勢の変動、消費者物価の変化などと共に実例も変化するので、原則として毎年、この標準制作料金表の金額を調整します。