- デザイン料金表
- 制作料金算定基準
- JAGDA制作料金基準を使いこなすために
JAGDA制作料金基準を使いこなすために
CD料という考え方について
従来、多くのプロダクションは企画料、アートディレクション料、コピー料、デザイン料、フィニッシュ料といった請求項目によって制作料を請求してきました。それがこの料金基準では、CD料、C料、D料、プラスb作業というように変わっています。基本的にブレーンワークも立派な「作業」だという考えと、そのブレーンワークこそが付加価値を生むという考えを一緒にした結果、そうなったわけです。
従来の方式はつまり、付加価値部と作業部を別項目にし、それらを並列的に並べるというやり方ですが、その方式だとどうしてもいくつか不都合な点がでてきます。たとえばアートディレクションという作業と、その作業が生む付加価値を一緒にしてしまうわけですから、何かの都合でボツになった時や、その逆に大々的にその作品を使用したケースにまったく対応できません。それを解決するためにはケースごとにいちいち料金を設定しておかねばならないわけです。
それが不都合な点の最たるものですが、もうひとつ、企画料とは何かがはっきりしないことも問題です。企画料を付加価値料と考えると、アートディレクション料以下が全部、作業料となってしまいます。逆にアートディレクション料などを、作業料と付加価値料がいっしょになったものと考えると、企画料の存在がはっきりしなくなる。そうしたことが制作料というものをあいまいにし、「時価」システム化してきたわけです。
そこでわれわれは、企画料をCD料に変え、さらに「アートディレクション」の中の純ブレーンワーク分をそのCD料に、手作業分をD料にと2分し、従来の「デザイン」中のブレーンワーク的なものをそのD料と合体させ、純手作業的なものをb作業としてのフィニッシュ料にしたのです。
別の言い方をすれば、従来アートディレクターとコピーライターとデザイナー(実際にはアシスタント・デザイナーである場合と純アシスタント、つまりフィニッシュマンである場合とがあります)という「人」別に立てていた請求項目を、「作業」ごとに立て直したわけです。
つまり、ディレクションはアートディレクターがやろうと、コピーライターがやろうと、職能としてのクリエイティブ・ディレクターがやろうと同じ「ディレクション」だというわけで、それをCD料として一本化したわけです。
したがってオールマイティのクリエイターがひとりでCD、C、Dを全部やった場合もCD料、C料、D料を3つとも請求していいわけだし、逆に3人でディレクションをしてもCD料はそのまま、あとで三人がCD料を分け合うわけです。
前から続いている依頼主との契約について
依頼者と制作者の基本的関係は、この料金基準の「デザイン制作契約約款」によって定められているわけですが、その第1条「契約方法」の1には「依頼者と制作者の制作契約は、制作者の提出する見積書をもとにして(中略)契約条件を定め、契約書を取り交わして成立します」とあります。
しかし、長年仕事をしてきている、あるいは長年いっしょに仕事をするだろう依頼主と、ひとつひとつの仕事についていちいちそんなことをしていたのでは、文字通り仕事になりません。
そこで、そういう依頼主に対しては第2条第2項を適用することになります。つまり、この料金基準を参考にして双方が使いやすい独自の基準を作り、普段はそれを使えばいいのです。
ただ、その場合この「JAGDA制作料金基準を参考にして」ということが大切です。ぜひこの料金基準でシミュレーションをやり直してみてください。その結果が従来の料金の妥当性を証明するようならそれままでいいわけですし、そうでなければシミュレーション結果を参考に調整し直せばいいのです。
写真料、イラスト料について
写真やイラストの制作にアートディレクターなどが実質的に参加した場合は、その参加の程度に応じて、写真料、イラスト料の分配を受ける権利が当然あります。その分配の目安も将来は作りたいと考えていますが、それまでは当事者同士が話し合って決めてください。
また、いわゆる「立ち会い」で、しかもそれが制作の上で必要な立ち会いであるような場合は、写真料を分配するのではなく、概念規定5の「付帯作業料」として、11(時間料金)で算出した額を支出経費として請求してください。
代理店制作部通しの製作について
代理店制作部通しの制作で、代理手のクリエイティブ・ディレクター等が実質的に制作に参加した場合は、たとえばCD料を代理店CDの取り分にするとか、半々に分けるとか参加の実質に応じて配分するようにし、各料金について仕入れ値的価格体制をとることは避けてください。 制作料金についても、実質をもとに代理店との配分比率を決めてください。
この料金表にないアイテムについて
このデザイン制作物は、ご承知のとおり種々雑多な種類があります。そのすべてについて作業料を決め、量的指数(Z指数)を決めることはとても難しいので、いわば要所要所のアイテムについてのみ、モノサシを作りました。
したがって、この料金表にない仕事については、この料金表の中から比較的近いと思われるものを選んで、それを参考に各自で作業料とZ指数を決めてください